年末調整を楽にする方法

年末調整は、資料の集約や確認作業が集中するため、毎年のように担当者の大きな負担になります。ここでは、少しの工夫で作業を大幅に軽減できるポイントをまとめました。
年末は繁忙期。年明け1月の給与で調整する運用が有効
年末は事務作業・決算準備・顧問先対応などが重なりがちです。
そのため、年末調整の“精算”を無理に12月給与で行うより、年明け1月給与で調整するほうが確実で、事務負担も減らせます。
- 12月は「資料の集約と内容確認」に専念
- 1月に「還付・徴収」の処理をまとめて実施
- 雇用者側にも従業員側にも分かりやすい
税務上も問題なく、担当者の作業ミス防止にもつながります。
資料収集の事前案内が最重要
年末調整が遅れる原因の多くは、「資料がそろわない」ことです。
そのため、早い段階で従業員へ 何を・いつまでに・どの形式で 提出してほしいかを明確に案内することが効果的です。
- 必要書類の一覧(保険料控除証明書・住宅ローン控除資料 など)
- スマホで撮影OKかどうか
- 不足資料が出やすいポイント(名前の記載・最新年度の証明書か など)
- 提出期限の明確化
特に初めて年末調整するスタッフには、A4一枚の必要書類ガイドがあると混乱を防げます。
WEBで資料を収集できるソフトを活用する
紙の管理をなくすと、担当者の負担は劇的に軽くなります。
- 各社年末調整ソフトの「従業員Web提出機能」
- 弥生、マネフォ、freee、SmartHR などのクラウド機能
- スマホからアップロードするだけで提出完了
提出状況(未提出者)を自動で管理できるため、催促も簡単になり、人的ミスが減ります。
今年は特に注意:基礎控除額が見積所得で変動
今年は税制改正により、基礎控除額が収入区分によって変動するため、従業員が「自分の基礎控除額がわからない」というケースが増えています。
そこで、従業員向けの簡易案内文は下記のようにすると迷いが減ります(以前作成した内容を簡略化)。
<従業員向け簡易案内文>
- 基礎控除額は、あなたの“今年の見積所得”によって
「48万円・32万円・16万円・なし」のいずれかになります。 - 通常の給与所得者の多くは 48万円 が適用されます。
- 副業や賞与などで、年収が2,400万円を超える場合のみ控除額が変わります。
- 不明な方は、給与明細の支給総額と源泉徴収票の見込額を参考にしてください。
- ただし見積が間違っても最終の給料で計算しなおしますので、金額はあくまで見積で記入してください。
この案内を配布しておくだけで、質問数が大きく減り、担当者の混乱も防げます。
まとめ
年末調整を楽にするには、
- 「12月は確認に集中 → 1月に精算」
- 「案内の事前準備」
- 「WEB提出の利用」
- 「基礎控除のわかりやすい説明」
これらの4点を押さえることが効果的です。

