コンビニ会計事務所2-2
AI・RPA・Z世代が変える税理士事務所の未来
AIやRPAが急速に広がるいま、税理士事務所の姿も大きく変わりつつあります。
かつては簿記を学んだ 学生アルバイトが主役だった入力作業は、AIが瞬時にこなし、RPAが夜通し動き続けるようになりました。
そこに加わるのは、簿記の知識よりもITスキルを持つZ世代の大学生たち。
そんな新しい事務所像を、「もし会計事務所がコンビニだったら?」というフィクションとして描いてみました。
未来の税理士事務所を想像しながら、楽しんでお読みいただければ幸いです。
今回は後編です
前回の投稿に前編がありますので、あわせてご覧ください
以下の文章はすべてフィクションです
第4章 AI・RPA・学生がつくる新しい事務所像
コンビニ会計事務所には、三人の「新しいスタッフ」がいる。
AI ― まじめな新人スタッフ
AIは、ひたすら真面目に働き続ける新人スタッフだ。
領収書の文字を読み取り、勘定科目を自動で割り振り、集計まで一瞬でやってのける。
スピードも正確さも、人間の比ではない。
だがAIには弱点がある。
「常識」が通じないのだ。
顧客が独自ルールでつけている帳簿や、取引の背景を知らないと、ときどきトンチンカンな仕訳を提案してしまう。
そんなときは人間の出番である。彼 あるいは 彼女の性格をよく見て独自ルールで作業してしまった部分を指摘してあげるのです。
学習能力がすごいため次回には、独自ルールは直っているのです。
RPA ― 夜勤担当の無口なスタッフ
無口だが、黙々と作業を繰り返すRPAの出番だ。
「これをこう処理しろ」とルールを与えられれば、24時間365日、疲れもせず同じ作業を繰り返す。
夜の間に銀行データを取り込み、朝までに請求書を処理し、スタッフが来るころには結果を揃えて待っている。
だが、RPAもまた応用力には乏しい。
ルールにない例外に出会うと、すぐに止まってしまう。
そこでできあがった資料をみてこれは、難しい処理だったなと頼んだ人間が考えることになるのである。
学生 ― 柔軟で機転の利くサポーター
Z世代の学生アルバイトが登場する。
彼らはAIの出力結果をチェックし、RPAがつまずいた処理を調整し、システム同士をつなげる。
簿記の知識は浅くても、ITツールを扱う力と柔軟な発想で、AIとRPAの「橋渡し」をする存在だ。
「ここは手入力に直したほうが早いですね」
「このエラー、スクリプトをちょっと修正すれば解決できますよ」
学生は、まるで現場の便利屋のように動き回る。
税理士 ― 店長としての役割
そして、これら三人をまとめるのが税理士=店長だ。
AIに判断の軸を与え、RPAに正しい手順を設定し、学生に役割と学びの場を用意する。
全体を俯瞰して、「このチームで顧客に最高のサービスをどう届けるか」を考える。
――こうして、AI・RPA・学生という三人のスタッフが、それぞれの強みと弱みを補い合いながら働く。
それはまさに、コンビニを切り盛りする店長とアルバイトの関係にそっくりだった。
第5章 これからのコンビニ会計事務所
「先生、この事務所って、ほんとにコンビニみたいですね。」
学生アルバイトが笑いながらそう言った。
AIは昼夜を問わずデータを処理し、RPAは無言で仕組みを回し続ける。学生は臨機応変にシステムを操作し、時にはAIよりも早く問題を解決する。
税理士はそんな姿を見守りながら思う。
――そうだ、これはもう「会計事務所」というより「社会のインフラ」に近い。
24時間動く事務所
コンビニが24時間開いているように、AIとRPAによる自動処理は止まらない。
夜の間に請求書が処理され、朝にはレポートが完成している。
顧客は「必要なときに必要な情報を得られる」安心感を手にする。
戦力の多様化
これまでの事務所は「簿記知識を持つ人材」に依存していた。
だがこれからは、
- AIが定型業務を担当し、
- RPAが全体の流れを自動化し、
- 学生が柔軟なITスキルで調整役を担い、
- 税理士が判断と信頼を提供する。
まるでコンビニのように、スタッフは多様でありながら一つの店舗を支えている。
税理士の新しい使命
そして、税理士は単なる「会計の専門家」ではなくなる。
- 店長のようにスタッフを育成し、
- 経営者のように顧客を導き、
- コンサルタントのように未来を提案する。
顧客が本当に求めているのは、数字そのものではなく、そこから導かれる「安心」と「判断材料」だからだ。
未来の風景
近い将来、事務所の入り口にはこんな看板が掲げられるかもしれない。
コンビニ会計事務所
― いつでも、どこでも、あなたの経営を支えます ―
AIと学生が並んで仕事をし、RPAが夜通し事務を回し、税理士がその全体を指揮する。
その姿は、過去の「紙と電卓の事務所」とはまるで違う。
だが、本質は変わらない。
――人々の生活と経営を支える、社会に必要な存在であることに。
コンビニが街に欠かせないように。
会計事務所もまた、時代に合わせて形を変えながら、人々の暮らしのそばにあり続けるのだ。
おわりに
※本記事はフィクションです。未来の会計事務所をイメージした物語としてお楽しみください。

