年末調整はしなくてはいけないのですか?

今年も控除額が変更になり、毎年のように複雑になる年末調整ですが、給与を支払会社または事業主が年末調整を必ずしなくてはいけないかどうかわかりますか?

結論(端的に)


— 結論として、従業員本人が「年末調整しないでほしい」と言っただけで、会社が正当な理由なく年末調整を行わない(年末に源泉徴収で終える)ことは原則認められません。 会社は法令上、年末調整を行うべき場合には実施する義務があり、怠れば税法上の責任(場合によっては罰則)を負う可能性があります。

理由と要点(重要な法令・実務点)

  1. 年末調整の目的と対象
     年末調整は「1年分の給与について源泉徴収した税額と本来納付すべき税額との差額を精算」する手続きです。『給与所得者の扶養控除等(異動)申告書』を提出している(かつ給与等が一定額以下の)者については、会社が年末調整を行うことになります。
  2. 会社の義務性(法的根拠)
     所轄の国税庁(タックスアンサー)等では、扶養控除等申告書が提出され、かつ給与等が2,000万円以下の人については、その年の最後の給与等の支払をする際に年末調整を行う必要があると明記されています。会社に年末調整を「しない」自由は原則ありません。
  3. 「本人が希望する」ことで免れられるか
     従業員本人が「自分で確定申告するから年末調整はしないでほしい」と言っただけで、会社の義務が消えるわけではありません。扶養控除等申告書を既に提出しており、年末調整の要件に該当するなら、会社は年末調整を実施すべきです。扶養控除等申告書を未提出であれば会社は年末調整できず、従業員が自ら確定申告することになります。未提出の場合は、乙欄源泉になり源泉額が高額になります。
  4. 年末調整をしない(怠る)リスク・罰則
     年末調整を行うべきにもかかわらず故意に行わない、または徴収した税を適切に納付しない等は所得税法上の問題となり、罰則や行政指導の対象になり得ます。実務上、年末調整を行わない場合は従業員に確定申告を促すだけでなく、税務署へ相談・報告されるケースがあります。実務的な対応(会社側・従業員側)
  • 会社(雇用主)は、まず扶養控除等申告書など提出の有無を確認する。提出があれば年末調整を実施する。
  • 従業員が「自分で確定申告をしたい」と希望する場合でも、申告書を提出済みであれば会社は年末調整を行うべきである旨を説明し、必要なら税務署に照会する

しなくていい人のケース別の簡単チェックリスト

  1. 扶養控除等申告書を提出していない? →乙欄での源泉徴収で年末調整しない。
  2. その年の給与等が2,000万円を超えているか? → 「超える」なら年末調整の対象外(本人が確定申告)。
  3. 他の勤務先で年末調整を受ける(従たる給与)か? → 主たる勤務先でのみ年末調整を受ける運用。
  4. 年末に退職してほかの会社に勤務予定の場合→年末調整できない、最後の給与でないから。

最後に

扶養控除申告書を提出(甲欄での源泉徴収)した場合年末調整は原則義務です。
ただしできない人が列記されています。
本人が年末調整しないでといった場合でも、みとめられません。
ケース別簡単チェックリスト(上記)ご覧ください。